シナリオはまたしても書き換えられてゆく
微妙に揺れ動く心がそうさせる
文明を批判するだけの頃とは違い
巴里の街の空に憧れた頃とも違う
劇的な生涯と数奇な運命は
その時代を生きたひとつのあらわれ
一切のからくりを告白することにより
未練なき生き様と言い切れる術を知る
詩人は己の影を踏み
今夜もわびしく韻を踏む
生み落とされたその言葉は
きわめて稀な響きを持つ
薄暗いまどろみの儚い記憶は
その男の古い孤独を呼び覚ます
美学も美意識も美的も美徳も
美しさの中に見いだせるものではない
世の中を塗り替えるいくつかの言葉遊び
今こそ彼はまさにその境地に差し掛かる
詩人は己の影を踏み
今夜もわびしく韻を踏む
生み落とされたその言葉は
きわめて稀な響きを持つ
愛しい人に去られた今は その声の届くところへ
されども言葉が大きな意味を 持たぬことも知っている